オートリバースって嫌いだ
そういった高階の気持が、わかるようになったチョクのことが辛かった。
チョクと高階は
同じ日に転校してきたところとか、どこかずっと明確にならない居場所の不安定さとか
同じものを少しずつ共有していたけれど、内向的なチョクと外交的な高階では、孤独や見つからない居場所に認められる方法もまるで違っていて
けれど、お互いの求めた存在意義はどこか似ていたからこそ
中学校という狭い枠組みの中で見つけた互いの存在が必要だったんだろう。
”お茶会”に行ったチョクは高揚とともにイカロスの翼だと怯えた。
高階は興奮とともにもっともっと上を目指した。
物語が進むにつれて
2人の思いの方向が違うことは、チョクにも高階にもわかっていて
高階はチョクを巻き込もうとはしなかった。
ただ、お互いのことを尊重しあえた2人だからこそ、サヨウナラも言わなかった。
互いのことを否定しなかった。
コイズミを一位にする
なにより、それが二人の夢だったから。
いや、どうだろう、本当は2人でただ喋っているあの時間が、
何よりも幸せだっただけなのかもしれない。
昨日は、ラジオ局版を聞いて、原作を読んで、radiko版の一話を聞いた。
原作は随分前に買った、どちらがどちらの役か予想したいなと思っていたから。
ただ届いた日に1ページ目を開いて驚愕してから、それ以上進めないでいた。
けれど、この順番で間違って居なかったかもしれない。
猪狩蒼弥と作間龍斗という2人を知っているからこそ
音も色も香りもない文字だけの世界で、人物の動きが手にとるようにわかる気がした。
彼らが演じたのなら、この時こんな表情をして、こんなふうに手を動かして
元々小説を読むことは好きだったけれど、改めてドラマとは違うラジオドラマと言う作品から入る原作の違った楽しみ方をした。
今の段階で私の受けた印象では、チョクは原作よりすこしおだやかですこしだけ頭が良い。
高階は原作よりも人間っぽかった、原作ではもっともっと正体の掴めない感じがしたのだ。
だけどあまりにも彼らは、チョクで高階で、そこに居た声は猪狩蒼弥でも作間龍斗でもなかった。
チョクは、友と恋と女神を知ったけれど
己の力がなくても一位を取れるようになったコイズミにはもう自分たちのちからは必要のないものだと感じていたし
自分のことを想ってくれているヒメのことが大切だからこそどうすればいいのかわからなくなっていたし
高階の目はもうエメラルドグリーンに光らない。
チョクのその先を知りたいとも思うけれど、知りたくないとも思う。
青春を切り抜いて閉じ込めたみたいな作品だ。
高階はエメラルドグリーンがどんな色か、知ることはできたんだろうか
チョクと高階のアイドルに対しての思いの違いはどうだっただろう
「好きな女ができた」そういった高階と「女神だから」そういったチョクでは、私の中で何かが違った。
今で言うガチ恋とそうじゃないやつの違い?そういうことでもない気はする。
コイズミを推す親衛隊の気持ちはどこか現実に重なる部分が大きかった。
葉書を何枚も書いて住所も字体も変えていた親衛隊は、Jr.大賞に手紙を送る今のオタクとYouTubeを再生する今のオタクと、何が違うんだろう。
確実に必要なものだけれど
「努力が報われる場所」それは一歩間違えれば「努力を押し付ける場所」だ
自らのエゴのために彼女、彼らを応援しているそれは、すべては自らのための努力で
それを彼女のためだと思ってしまえばそれは押しつけに過ぎないのだと私は個人的に思っている。
原作でも、ラジオドラマでもいい
オートリバースは、オタクに触れてほしい作品だ。
アイドルである彼らにとってはどう映る作品なんだろうか。
さて、このオートリバースという作品は
HiHi Jetsのメンバー写真も見ながら作られたと原作者の高崎卓馬さんが話してくださっている。
18歳になった猪狩蒼弥と作間龍斗
それはまだ大人でも、けれど子供とも言い難い絶妙な年頃に今2人は、というかHiHi Jetsは居ると思う。
サヨナラの方程式を聞いたときに、今のタイミングだからこそ歌える歌だと思ったけれど
オートリバースもドラゴンフライもまさしくそれで
このタイミングでこのお仕事をいただけるってことが奇跡みたいだと思う。
デビューした彼らのアルバムやカップリングにサヨナラの方程式やドラゴンフライが音源化されたとして
その声が今この瞬間の奇跡のようなタイミングの声じゃないんだと思うとそれがどうしても悲しくて仕方がない。
一分一秒、遠のいていく青春の声がこのまま音源化されればいいのに。
オートリバース。
ボロボロ泣きながら聞いて読んで
まだ飲み込めきれない部分も大きかったので感情の整理に文字に起こしてみた
しっちゃかめっちゃかな文章はいつものことなので仕方ないことにする。
まだ他のパターンを視聴できていないしradiko版もまだまだ聴けていないけど
ぐっっと噛み締めながら2人の少年の青春を受け止めたいと思う。
そう、年齢としては演じている彼らと歳の近い私だけど
ラジオドラマの中で流れてくる曲は、どれも耳にしたことのある名曲で
ちょうど親世代だなと思いながら不思議な懐かしさを感じられた。
ラジオっていいね。